N810―maemoプラットフォームは何処へいくのか(1) [N810]

今回は連載でいきます。あと口調をimpress風にしてます。コスプレ。

Maemoプラットフォーム(と、それを採用した製品)は、ノキアの発売する携帯電子機器群の中でも奇異に見える存在である。元来からノキアが採用してきたハイエンドからミドルレンジをカバーするs60プラットフォーム、ミドルレンジをカバーするs40プラットフォーム、ローエンドをカバーするs20プラットフォーム。ノキアの製品のほとんどはこの内のどれかに所属し、またその製品は膨大である。これは企画の共通化を図ることにより、コストダウンを行うノキアの企業戦略と合致している。
しかしmaemoプラットフォームに所属する製品はそうではない。このプラットフォームに所属する製品はこの3年間で3つしか発売されておらず、そのいずれもが爆発的なヒットを遂げているわけではない。にもかかわらず、ノキアはこのプラットフォームに対し、他プラットフォームとそう変わらないアップデート頻度でソフトを更新しているし、また今後も製品を出すことを検討しているように思える。彼らの企画の共通化と大量生産によるコストダウンという戦略から完全に外れたこれらの製品を、ノキアが保有し続ける理由とはなんであろうか。

ノキアは何を恐れているのか
これは完全に筆者の憶測だが、おそらく事実もそう変わったものではないだろう。ノキアは当初このプラットフォームを、携帯電話によるwebサービスに満足できないデジタルサイネージ向けのアドプログラムとして捉えていた。当時の携帯電話機は、液晶はQVGAサイズであり、また回線速度も遅かった。よって無線LANと高解像度液晶を搭載したWEBコンソールというものは、従来PalmやWindowsMobile、そしてUMPCらによって行われていたことを、奪回するために作られたといってよいだろう。普段は無線LANにて間欠泉的利用を行い、いざというときは電話機に繋いでネット接続やPCメール管理を行う。それを統合的プラットフォームにて提供しようとしたわけだ。それの実現には、(特にWEBブラウザという面において)従来のsymbianでは不十分なために、debian系列のLinuxが採用された。この順番を忘れてはならない。
当時においてはこの考えは通用した。しかしあるデバイスの登場によって、それは打ち破られた。iPhoneである。

PDAの絶滅 
PDAの存在は、携帯電話の高機能化と、Palmの停滞によって間違いなく衰退に向かってはいた物の、それをすべて灰燼に帰してしまったのは、iPhoneであると言うほか無い。この全く新たな、革命的なWEBブラウザーとそれに付随するパケット通信機能を有したこの携帯電話は、 2G、3Gの通信網を持たないPDAをことごとく窮地に追いやった。
しかしN×××系は、一見古典的なPDA端末そのものであったのにもかかわらず生き残った。それにはいくつかの理由が考えられる―iPhoneと同じか、もしくは優れてるとすらいえるWEBブラウザーを有していたこと、解像度がWVGAと当時としては空前絶後といえるほどの高解像度であったこと。そして、debian系列のリッチなOSをもっていたこと。等々。そしてこれらはiPhoneの特長そのものでもあった。
結論から言えば、iPhoneが成したそれらの革命的なソリューションすべては、すでにノキアのN×××系にてすでに成されていたと言っても良い。ただ一つ、パケット通信機能を除けば。そしてそれこそがこれらすべての機能の核心ではなかったのか?先ほどあげた長所も、それらに打ち消されるとしたら?
もしそうであるならば、既にノキアはミスを犯していたのだ。電話機に付随する高機能PDAというものは、前時代の遺物を全身に背負っていた。いくらその機能が革新的であろうとも、リッチであろうとも、そこに爆発的ヒットを望むのは難しい。であるからこそ、N×××系は、日陰の道を歩まざるを得なくなった。ある部分では革命的なソリューションを持ちながら。

ノキアの目指す逆襲
しかしその敗残者を、ノキアは切り捨てなかった。それどころか、そのOSはOpenGL2.1をサポートし、さらにマッシブな物となる。さらに、この不況期において、利益が激減したノキアはマイナーチェンジを乱発しているにもかかわらず、次機種では全面的なモデルチェンジを行う。明らかに、その売り上げと比例しないほどの費用をこのプラットフォームに掛けている。
それは、今後ノキアが目指す世界戦略において、偶然ながらこの機種の存在が必要不可欠な物となったからだ。、そして今後N×××系は、今までとは全く違った役割を担わされることとなるだろう。それはあっけなく討ち死にを食らったiPhoneへの対抗策の一つでもあるし、今後の携帯電話アーキテクスチャの未来を占う、真っ先に引かれるくじの一つともなるのだ。

続く。

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